頑丈な粗大ゴミ
作ることが自己目的化しては意味がないけれど、作り出せる人であることで、モノとお金だけの世界に、小さな反旗を翻すことができるだろう。
その旗が少しずつ増えることで、もしかしたら世界は変わる。
そう考えると、ちょっと楽しい。
まずは植物を育てることから始めてみようモノにあふれ、お金に支配されたように思えるこの世界を、何かヘンだ、と思うなら、自分の手で何かを作り出してみよう。
何も『村』みたいな大がかりなことをしようというのではない。
ベランダで一鉢のハーブを育てる。
捨てられない端切れで、ブックカバーやくるみボタンを作ってみる。
身近な話題を記事にして、身内に配る「新聞」を作ってみる。
ほんの小さなことでいいのだ。
自分の好きなこと、得意なことを、少しだけ広げて、手を動かせば、「買わされるだけの自分」から「作り出せる自分」になることができれば、だった。
インドで体験した、ほんものの夜空の暗さ知人が、海辺の町に、週末の家を借りたというので、話を聞かせてもらった。
「おばあちゃんの家」のような、木造の一軒家を、友人4人とともに借りて、土日をそこで過ごし、月曜朝に「上京」出社するのだという。
家賃は安く、5人でシェアすれば、ごくわずかな負担ですむ。
彼女はそこでの暮らしを、心から楽しんでいるよう「ここに来て、都心からさほど離れていない土地だが、それでも夜は真っ暗、地域の住人には高齢者も多く、夜8時以降ともなれば、周辺は静まり返り、波の音のようなものも聞こえる、また夜って暗いんだ!って、あらためて思いました、考えてみれば当たり前なんですけどね」と彼女は笑う。
それを聞いて私は、インドを旅したときの夜空を思い出した。
そこはヒマラヤにも近い北部の都市で、月のない夜はまさに漆黒の闇。
その闇を、無数の星が照らす。
私は、あんなにたくさんの星を、日本で見たことがない。
暗い闇をいつまでも見上げていると、不意に、巨大な流れ星が落ちていった。
それは本当に大きくて、まるで青い炎のようだった。
光の軌跡は、一瞬で音もなく地平線に消えていった。
今までの人生で見た、一番大きな流れ星。
あの輝きを思い出すとき、「暗い」「危険、不便」「貧しい」という思い込みが、実に短絡的な、つまらないものであることに気づく。
暗いって、豊かなことだ。
東京の空を見上げても、1等星以下は目を凝らさないと見えない。
地上の灯火が明るすぎるからだ。
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